思えば。
また土日が来ても誰とも会う約束もなく、ひとりで飲むか写真を撮るかだけ。
要塞内での囚人の作業は、しごとではなく、義務であった。囚人は割当てられた作業を終えるか、あるいは規定の労働時間がすぎると、獄舎へもどってゆく。囚人たちは作業をきらっていた。自分の知力の限り、能力の限りを注いで打込めるような、自分の特別なしごとをもたなければ、人間は監獄の中で生きてゆくことはできなかったろう。
- 作者: ドストエフスキー,工藤精一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1973/08/01
- メディア: 文庫
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それは監獄に限らない。しかも私は無能者だ。