思えば。


また土日が来ても誰とも会う約束もなく、ひとりで飲むか写真を撮るかだけ。

要塞内での囚人の作業は、しごとではなく、義務であった。囚人は割当てられた作業を終えるか、あるいは規定の労働時間がすぎると、獄舎へもどってゆく。囚人たちは作業をきらっていた。自分の知力の限り、能力の限りを注いで打込めるような、自分の特別なしごとをもたなければ、人間は監獄の中で生きてゆくことはできなかったろう。

死の家の記録 (新潮文庫)

死の家の記録 (新潮文庫)

それは監獄に限らない。しかも私は無能者だ。